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  今は昔、docomoが携帯電話を世に放ってから今までに、携帯電話は爆発的に普及し、端末も、小型化・多機能化と進化を遂げてきた。高校に入学した当初、友人が「カラー液晶」で「(着信音が)3和音」という端末を持ってきたときの衝撃は今でも鮮明に覚えている(たしか、J-PHONE)。今ではそのような端末は化石だ。おそらくその友人も、自分がそのような端末を使っていたことさえ覚えていないだろう。その後、携帯電話は「ケータイ」と抽象化されるまでにその機能を多様化させた。カメラの画素数が向上し、ラジオが聴けるようになった。音楽が聴ける端末が登場したかと思えば、すぐにワンセグTVが見られる端末も登場した。3和音で感動していた音楽は、4和音、16和音、64和音と音の数が増え、スピーカーが搭載されたことで、まさに「音楽」となった。着うたの登場だ。今となっては、3和音の携帯電話で、YMOの「東風」や「RYDEEN」の音符をコードで入力し、遊んでいたことが本当に懐かしい。着信音を自分で作曲できる機能は、携帯電話からいつの間にか無くなった。16和音を超えたあたりから、そういった遊びを断念し、着目しなくなっていた。得るものも多かったが、先述の作曲機能のように、失ったものもあった。

 そして、「ケータイ」は「スマートフォン」に進化した。iphoneの登場だ。端末の多機能化は複雑化を極めた。これを「これを持っていれば、何でもできる」という安心感もあったが、一方で、「すべての機能が中途半端」というジレンマもあった。カメラの画素数は向上し、綺麗な画を撮れるようにはなったが、デジカメには及ばない(ほとんどデジカメ、というようなコンセプトの端末も存在するが)。WEBも、twitterやfacebookで短くつぶやく程度であれば差し支えないが、入力は面倒で、思考のスピードにはついてこない。ブラウジングの快適さにも限界がある。スマートフォンによって、生活に必要なすべての「通信」にまつわる機能を手に入れた、と思っていると、「すべてを中途半端に妥協する」危険だってあるのでは無いだろうか。

 世に出回っている、端末は、「多機能」という、「単調」に陥った。ユーザーのライフスタイルに合わせて、どの機能が欲しくて、どの機能は不要、といった選択肢は少ない。どのように、WEBを生活に取り込むか。どのような機能を、端末に求めているか。「スマートフォン」には、そうした個別のニーズに応える用意が無い。

 私は、2009年から、iphoneを使ってきた。家ではwi-fi、外では3G回線でWEBに接続。便利なアプリも入れ、快適に使っていた。しかし、スマートフォンを、キャリアの通信で使うと、ランニングコストは割高だ。その割には、通信速度も遅く、得るものが少ない。iphoneでは当然、まとまった文章の入力に不向きだし、バッテリー切れで通話ができなくなる恐れもある。外付けのバッテリー、という苦肉の策もあるが、スマートじゃ無い。iphoneを使い続ける、私にとっての意味って何だろう?Appleの製品としては、愛着もあるんだけれど。

 私が至った結論は、「持って歩くは無線LAN」というものだ。モバイルwi-fiルーターによって端末をWEBにつなぐ。日によって、iphoneのみ持ち歩くこともあれば、macbookを持ち歩くこともある、という使い方には最適だと考えた。通話は、通話専用の端末。まさに「携帯電話」だ。iphoneを通話に使う必要は必ずしも無い。

 今日、iphoneを解約し、WILLCOMの通話専用の端末と、モバイルwi-fiルーターを契約してきた。家族で使うことも考えると、目を見張るコストダウンになったが、私のWEBとのつながりはむしろ可能性を広めた。iphoneと、macbookを、モバイルwi-fiルーターでWEBにつなげる環境ができた。鞄の中にwi-fiルーターを入れっぱなしにし、通話専用の端末を持つ。iphoneから、通話の機能を無くし、ipodtouchのような使い方をしようとしている。製品開発の流れから見れば逆行だが、私にとっては進展だった。持ち歩く端末の「数」は増えるが、ほとんどが鞄に入れっぱなしになる類いのもので、管理にかかる手間も無い。むしろ、「使う機能」のオン/オフの選択が恣意的にできることがいい。



 将来的に、端末の基本性能(バッテリーなど)がより向上すれば、モバイルwi-fiルーターによってIP電話として使うことにもなるかもしれない。モバイルwi-fiルーターを持ち歩くことで、これからできる「WEB行為」は飛躍的に増え、選択肢が向上する。こうして、端末の機能に依存するWEBとのつながりから、自分で選び取っていくWEBとのつながりに、更新することができたと思っている。家計にもすごく優しい。

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仏像、恐竜、文房具。振り返れば多趣味。いや、趣味ではなく、真剣なのだ。それが問題。ジャンル問わず展覧会に興味あり。
一級建築士。工学修士。ユーザーの視点から建築・都市を考え企画するのがライフワークです。
https://twitter.com/wagyoo

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