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日常、考え事。たまに少し冒険。
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「パチンコ全面禁止」を主張する本を読んだ。 私にとっては、とても新しいテーマだ。考えたこともなかった。
パチンコは好ましいことではないと感じているし、そのためパチンコで遊んだこともない。店の内外の雰囲気は街を低俗なものにしてしまう、という観点から嫌いだっただけだ。パチンコ店の駐車場で、車内に置き去りにされた幼児が熱中症でなくなるニュースをみても、それをパチンコの罪悪として考えたことはなかった。パチンコにそこまで入れこむ大人の人間性の罪悪として考えていた。

本書では、そうした考え方にNoを突きつける。パチンコ依存はパチンコメーカーやパチンコ店に巧妙に仕組まれた罠に依るものであり、個人の資質のみのせいにすることはできない、という主張がある。パチンコ業を監督する省庁も、政治家も問題認識が甘い。筆者には、パチンコ依存が、社会全体の問題であるという強い想いがあると感じられる。
社会全体の問題であるが故に、「全面禁止」も正当化される、という考えなのかもしれないが、本当にそうなのだろうか。 その点には勉強不足で疑問が残る。そうした基本的な問題構成に疑問が残るものの、本書には共感できる点も多い。

例えば下記

賽の河原が、全国津々浦々にあり、どんな田舎に行っても、現代の賽の河原が存在する。恐ろしいことである。金の問題よりも、パチンコにより人心が荒廃させられている。それが何よりも恐ろしいのである。(pp94店内は、まさに賽の河原)

本書における、筆者の基本的な問題意識だ。筆者の想いには共感できる。
しかし、下記の記述に代表されるように、極めて偏った認識、あるいは非論理的な表現が目立つ。

・警察によるパチンコ100万台の摘発没収という話も頷ける。それにしても、業界の抵抗がなかったものか気になるところだが、韓国の人たちは、軍隊経験を経ている男が多いので、法律で決まったことには潔く従うそうである。(pp36 抵抗勢力による妨害はなかったのか?)
・子殺し、親殺しはパチンカーに多いと言われている。(pp94 母を殺し、金をとってパチンコ店に行った息子)

記述が、根拠に乏しいのが本書の欠点だ。韓国に渡って多くのインタビューをしたきたようだが、そのときにインタビューした相手が行っていた内容を、鵜呑みにしてそのまま採用している印象がある。法律ができて、韓国からパチンコ(メダルチギ)がなくなった、という事実以外に、信頼を置ける記載が少ない。
筆者は、日本の政治・マスコミの、パチンコ業界(?)との癒着も指摘している。ただし、(一部には具体的な組織や個人を挙げた記述があるが)一般論としての抽象的な記述が多く、やはり真否は本書で確認できない。マスコミ批判の1つが下記だ。

庶民の声に「ちゃんと反応する」ことの大切さを日本のマスコミは忘れている。弱者の苦しみや、悲しみに対して、日本のマスコミは「ちゃんと反応」していない。本来は、マスコミはどこよりも早く、「ちゃんと反応」しなくてはいけない事例の1つがパチンコの問題なのである。(pp133 パチンコ問題に目を瞑るマスコミの責任)

というように、マスコミの感度に関して批判している。確かに、マスコミの社会問題に対する感度を高めることで、社会に貢献できることは増える。その点には共感できる。しかし、本書でおいて、筆者のマスコミ批判の核心は下記だ。

マスコミは、CM収入というお金を重視するあまり、パチンコの被害に目を瞑り、心を疎かにしている。日本の新聞やテレビは良心を失っていると言っても過言ではない。(pp132 パチンコ問題に目を瞑るマスコミの責任)

日本人として、日本で暮らしている以上、このような言論的な文化があるのは理解できるが、それは一般論だ。一般論をもとにマスコミをすることは不毛だ。

このように、本書ではソースが、極めて少ない。インタビューした方の発言や、Wikipedia、新聞記事など、個別的な事例を集めている。データをもとに、説得力のある一般論を展開する努力はしていない。1つ参考になるのは、国を相手取った訴訟の事例紹介である。 金に目がくらんだマスコミ(広告費)と省庁(天下り)、政治家(献金)、という図式を好んで用いているが、なぜ、韓国のマスコミがそうした弊害を乗り越えることができたのか、という問いには、マスコミや政治家の「良識と使命感」によって答えている。
本書は、社会問題としてのパチンコ、という主張で画期的な面もあるが、説得力を欠いた記述で共感できない点が多い。

批判的な書き方をしてしまったが、それは本書の、「主張の方法」に納得できなかったからで、「主張の内容・目的」には共感している。「社会問題としてのパチンコ(と賭博)」という考え方の入り口として、とても参考になったし、筆者のもつ「想い」に共感できる点は多い。特にパチンコをやったことのない私には、初めて知る事実も多かった。本書で学べなかったデータや、社会的な事実については、できる範囲で自ら調べてみよう。


    


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仏像、恐竜、文房具。振り返れば多趣味。いや、趣味ではなく、真剣なのだ。それが問題。ジャンル問わず展覧会に興味あり。
一級建築士。工学修士。ユーザーの視点から建築・都市を考え企画するのがライフワークです。
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