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日常、考え事。たまに少し冒険。
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 発言を捉える「姿勢」によって、印象が全く異なる、そんな個性をもつラジオパーソナリティの思考が、この本には詰まっていた。

 TBSラジオに「小島慶子 キラ★キラ」というラジオ番組がある。そのパーソナリティである小島慶子が書いた本。

 私は、中学生の頃からラジオが好きで(同級生にはラジオ好きがほとんどいなかった・・・)、ここ数年で、最近離れかかっていた「ラジオ」に引き戻された、メディアとしてのラジオの可能性に再び引き寄せられた、そんなきっかけをつくってくれたラジオパーソナリティがこの本の著者だ。

 この本の帯に書いてある、「世の中って捨てたもんじゃないよ!」は、嘘じゃない。ラジオの中で小島慶子が切り取る、日常の小さな出来事は、人が入り込みやすく、共感しやすく、たわいもない。そうした小さな日常に幸福をみつける、こうした話で気楽に日常を楽しむ。というスタンスは、せわしなく動く日常の隙間に入り込んできて心地よい。社会を良くしようぜ、暮らしやすい社会にしようぜ、みたいな力みがない分、かえって社会について取り上げる語り口は軽やかで忌憚ない。こういうスタンスが社会を変えるんじゃないか、と素直に思う。

 個人的には、キラ★キラの金曜日はちょっと変な気取りがあって馴染めないけれども、月曜日〜木曜日はなんとなく楽しみで、待ち遠しくなってしまう。もはや日常に入り込んできているラジオ番組だ。

 本を読むほどまでに、マスメディアに顕れている人物に興味が出たのは本当に久しぶりだった。本書では、下記の3点、印象的だった。

・女子アナがニュースを伝えるとき、きれいに足をそろえていなくてもニュースの内容は変わりません。でも、足をそろえていないと「気になる」という視聴者もいる。「気になる」と、肝心のニュースに関心が持たれなくなってしまう。それと同じで、私が「これを見て!これを聴いて!」とと思いながら、私なりに面白く分かりやすく説明したとしても、化粧がどうだとか、髪型がどうだとか、背が高すぎるとか、思いもよらないところに関心を持たれ、伝えたいことが何も伝わらなかったりする可能性が大いにある。(中略)テレビって不自由だな。情報量が多いからこそ不自由なんだろうな—。(pp.36) 

 これは、TVを批判するものでも、貶めるものでもない。ただの事実だ。ただ、そうした「些末な情報」によって伝えたいことがかき消されてしまうことや、伝えたいことを伝えるためにたくさんのエネルギーや工夫が必要なことを示している。その「些末な情報」に対する配慮によって、番組を予定調和で分かりやすいものにせざるを得ないのが、TVの残念なところだ、と私は思っている。こうした意見は、「本当に伝えたいこと」がオンタイムに出てこない人からは出てこないのではないか。小島慶子には、オンタイムで伝えたいことがあるのだな、と感じた。


・「どうでもいい」言葉でまとめるより、その方がずっと「いい」んです。何かモヤモヤした感じとか、後味の悪いものであっても、何かしらの痕跡を人の心に残すのが番組。「聴いたという痕跡」を、ほんの少しでも心に残さなければ、放送の意味なんてありません。(pp.70)
・形の悪いお土産―ちょっと気持ち悪かったり、すっきりしない感じのものーがその人の手に渡ったということは、実はその問題がその人のものになったということ。ほんの少しであっても、その人自身に取り込まれたという証拠です。(pp.72)


 当たり障りが無いけれど、意味がっまたくない言葉によって、お茶を濁さない。なぜ公共の電波に乗せてお話をするのか。どのような感覚がリスナーに伝わればそれは意味があったのか。正直、こんなこと考えたことすら無かった。

・「討論に見えるもの」でも「ガチンコに見えるもの」でもなく、見る人が、聴く人が、「これ、討論になっちゃってるんじゃない?」とか「これ、もしかしたらガチンコなんじゃないの?」って決められる自由さが欲しい。「ラジオ的コンテンツ」が強いのは、その自由さがあるからです。(pp.190)

 日常で、他者と起こり得るコミュニケーションと同じように、放送ですれ違いや衝突があったってイイ。人間関係のなかでの正常な現象だ。という考えは新鮮だ。それをつくられたもの、とみようが、対話とみようがそれは受け手の自由。前に芸人の「オリエンタルラジオ」が生放送中に喧嘩した、というのがあったけれど、人間同士だもの、そういうことがあったってイイ。「いい大人が、何やってるんだ」という「オトナな意見」はすごく幼稚に見える。人間同士のぶつかり合いを、素直に受け入れることができていないからだ。

 本書の中では、「アクセス」など過去につくり上げた番組のこと、局アナ時代のことなども書いてある。この他にも、雑誌などでもたくさん、言葉の表現を変えて述べられていることはある。

 本書とは直接関係ないが、私は、小島慶子の、「日常の小さな動きに着目するスタンス」と、「日常の小さな面白い出来事を見つける能力」の2つから学ぶことが多く、これからも学んでいきたいと思っている。

 たくさんのことを書いたが、もしかしたら私は、「TVの局アナ」として求められている役割に違和感を覚えているアナウンサーがいた、という事実に安心しているだけなのかもしれない。なんでも予定調和、のTVが嫌いな私の傾向が、浮き彫りになった。これからのラジオが、どうなっていくのか、本当に楽しみだ。こういうつくり手がいる限りにおいて、前向きな受け手でいられる。そのことが、うれしい。


  




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仏像、恐竜、文房具。振り返れば多趣味。いや、趣味ではなく、真剣なのだ。それが問題。ジャンル問わず展覧会に興味あり。
一級建築士。工学修士。ユーザーの視点から建築・都市を考え企画するのがライフワークです。
https://twitter.com/wagyoo

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